キャバクラが当日欠勤した女の子に対して罰金を引くことって多いですよね。 1回の当欠で1万円、無欠で2万円。イベント期間は3万円なんて話をよく聞きます。

「キャバクラの罰金は違法なの?合法なの?」という質問をよく受けますので、ここで詳しく解説します。

最初に結論を言うと『合法の場合もあるが、ほとんどの店が違法な状態』です。

キャバクラの罰金が違法な根拠となる法律

キャバクラの罰金が労働基準法と民法を読めば違法だと分かります。

面接時の契約書に罰金制度が書いてあることがありますが、労働基準法第16条によって禁止されています。

また、遅刻や当欠した時の高額な罰金も違法です。就業規則で減給を定めることはできますが、平均賃金の一日分の半額(日給の半分)か月給の10分の1を超えてはならないと決められています。

労働基準法

第十六条(賠償予定の禁止)
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

第九十一条(制裁規定の制限)
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

参考:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO049.html

風紀(業界用語で「社内恋愛」のこと)を禁止して罰金を取る店もありますが、これを根拠に法的には無効です。

社内規則で風紀(社内恋愛)を禁止にすること自体は違法ではありません。あくまでも罰金を取るのは違法ということです。客の立場やキャバクラの営業実態を考えれば風紀を禁止にすることに妥当性はありますから、店の決まりで風紀禁止にすること自体は合法です。

「キャバ嬢は個人事業主だから適用されない」も通用しません

「キャバ嬢は個人事業主でしょ。雇用契約ではなく請負契約だから労働基準法は適用されない」とスタッフから言われるでしょう。

しかし、「雇用関係があったかどうかは実態に即して判断する」のが裁判所の方針です。そしてシフトに入って時給で働くキャバ嬢は労働者ですから、その通りに労働基準法が適用されます。

契約書があっても無効です

「面接時に契約書があるから」と言ってなんでもかんでも強制してくる店もありますが、契約書があったって民法の定めによって無効となる場合が多いです。

第九十条(公序良俗)
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

参考:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

『公の秩序又は善良の風俗に反する事項』とは一般的に妥当ではない内容ということです。契約書や社内規則に「決まった時間に出勤できなかった場合は死ななければならない」なんて書いてあったら、本当に死ななければいけないと思いますか?

当然、こんな規則は無効なんですよ。

勘違いや強迫された場合も無効

また、面接時の契約書にサインしたとしても、勘違いして書いた場合や、無理やり書かされた場合は無効です。根拠は民法95条と96条です。

民法
第九十五条(錯誤)
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

第九十六条(詐欺又は強迫)
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

参考:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

95条の「錯誤」とは一般的な言葉に言い換えると「勘違い」のことです。

罰金はどこまでなら合法なのでしょうか?

代表的な罰金が違法かどうかは以下の通りです。

  • 遅刻や欠勤の罰金(合法な場合がある)
    ⇒妥当な理由があれば合法になります。寝坊で遅刻した女の子から罰金を取るのは合法ですが、体調不良や身内の不幸で休んだ場合に罰金を取るのは違法です。
  • ノルマ罰金(違法)
    ⇒キャバ嬢は時給で働いており、給料は働いた時間に対して支払うものです。「ノルマが達成出来なければ罰金」は違法です。
  • 風紀罰金(ほぼ全てが違法)
    ⇒月給10%を超えて罰金を取るのは違法

風紀罰金に関しては専門家でも意見が分かれます。

『社内恋愛したから仕事ができないなんてありえないから罰金そのものがダメ』という方もいますが『色恋で商売しているキャバクラにおいて、キャバ嬢とボーイが付き合っていたら客が離れる』という意見もあります。

私も一人のキャバクラ客の立場としては『好きなキャバ嬢がボーイと付き合ってるなんて夢も希望もない』と考えますから、当サイトとしても「風紀禁止の規則だけなら合法、ただし高額の風紀罰金は違法」という意見を支持します。

【社内恋愛したら罰金100万円】などのように、月給の10%を超えて風紀罰金を取るのは間違いなく違法です。

具体的に罰金はいくらまで取られるの?

就業規則(店則)で定めている場合に限り、1回あたり「日給の半分まで」か「1か月のお給料の10%まで」罰金は合法です。罰金として引かれる給料の金額は控除前のものです。

具体的な例をあげると

1日の平均的な給料が2万円(月給にして40万円)のキャバ嬢の場合

  • 1日あたり「2万円÷2」だから1万円まで
  • 1か月間の総額で「40万円×10%」だから4万円まで>

以上の金額までなら減給処分にしても良いです。5回当欠したから5万円罰金を取るのはNGです。

罰金を取っている店で働いているキャバ嬢はどうすれば良いでしょう?

キャバクラの罰金はほとんどが違法です。だからキャバ嬢が罰金を拒否するのは当然ですよね。

でも、キャバクラのスタッフだって罰金が違法なことくらい知っています。知った上で請求しているのです。

そんな店は辞めてしまいましょう。職場の改善をするよりも移籍した方が気持ちよく働けます。

現在は罰金制度のないキャバクラも沢山ありますし、派遣キャバクラという働き方もあるのです。風紀で働けなくなったり、罰金制度で働くのがイヤになったのなら、新しい店を目指して転職活動してはいかがでしょうか(*^▽^*)